灰色の脳細胞:JAZZよりほかに聴くものもなし -2ページ目

由良三郎『黄金蜘蛛の秘密』 (広済堂文庫)★★★☆☆

 

 

作者がデビュー前に手慰みにものした初めての習作を改稿したもので、やはり一番愛着のある作品らしい。

 

話としては、「あいつ殺して〜」と管を巻く泥酔会社員に「じゃあ、殺し方おしえちゃいますよ?」と近づく怪しい男が出てくるあたり何だか喪黒福造チックな掴みだが、これが悪くない。

 

その後、当然のように泥酔会社員の敵が事故死を重ねていくわけで、その真相が暴かれることに期待しつつ読み進めていくと、いつの間にか大衆演芸の世界に足を踏み入れることになるという、むちゃくちゃな力技がポイント。

 

一応はミステリの形をとっているが、ネタはあとがきで完全にバラされてるし、その点は大したものではない。しかし、読みやすさと大衆演芸を題材にとった点はポイント高し。

 

★★★☆☆

『プラトン全集』角川版・岩波版目次(訳者つき)

角川1

プラトン全集〈1〉

エウテュプロン(山本光雄訳) ソクラテスの弁明(山本光雄訳) クリトン(山本光雄訳) パイドン(村治能就訳) クラテュロス(戸塚七郎訳) 作品解題

 

岩波1

プラトン全集〈1〉

エウテュプロン(今林万里子訳)
ソクラテスの弁明(田中美知太郎訳)
クリトン(田中美知太郎訳)
パイドン(松永雄二訳)

 

角川2

プラトン全集〈2〉

テアイテトス(戸塚七郎訳) ソフィスト(新海邦治訳) 政治家(副島民雄訳) パルメニデス(山本光雄訳) 作品解題

岩波2

プラトン全集〈2〉

クラテュロス(水地宗明訳)
テアイテトス(田中美知太郎訳)

角川3
プラトン全集〈3〉

ピレボス(戸塚七郎訳) 饗宴(山本光雄訳) パイドロス(副島民雄訳) 恋仇(東千尋訳)

 

岩波3

プラトン全集〈3〉
ソピステス(藤沢令夫訳)
ポリティコス(政治家)(水野有庸訳)

 

角川4

プラトン全集〈4〉

第一アルキビアデス(山本光雄訳) 第二アルキビアデス(東千尋訳) ヒッパルコス(東千尋訳) テアゲス(千葉茂美訳) カルミデス(千葉茂美訳) ラケス(山本光雄訳) リュシス(山本光雄訳) エウテュデモス(山本光雄訳)

 

岩波4

プラトン全集〈4〉

パルメニデス(田中美知太郎訳)
ピレボス(田中美知太郎訳)

 

角川5

プラトン全集〈5〉

プロタゴラス(山本光雄訳) ゴルギアス(内藤純郎訳) メノン(副島民雄訳)

岩波5
プラトン全集〈5〉
饗宴(鈴木照雄訳)
パイドロス(藤沢令夫訳)

角川6
プラトン全集〈6〉
ヒッピアス(大)(山本光雄訳) ヒッピアス(小)(村治能就訳) イオン(内藤亨代訳) メネクセノス(山本光雄訳) クレイトポン(副島民雄訳) ティマイオス(泉治典訳) クリティアス(副島民雄訳) ミノス(副島民雄訳)

岩波6
プラトン全集〈6〉
アルキビアデス1(田中美知太郎訳)
アルキビアデス2(川田殖訳)
ヒッパルコス(河井真訳)
恋がたき(田之頭安彦訳)

角川7
プラトン全集〈7〉
国家 上 第1-7巻(山本光雄訳)

岩波7
プラトン全集〈7〉
テアゲス(北嶋美雪訳)
カルミデス(山野耕治訳)
ラケス(生島幹三訳)
リュシス(生島幹三訳)

角川8
プラトン全集〈8〉
国家 下 第8-10巻(山本光雄訳) 書簡集 第1-13書簡

岩波8
プラトン全集〈8〉
エウテュデモス(山本光雄訳)
プロタゴラス(藤沢令夫訳)

角川9
プラトン全集〈9〉
法律 上(山本光雄訳)

岩波9
プラトン全集〈9〉
ゴルギアス(加来彰俊訳)
メノン(藤沢令夫訳)

角川10
プラトン全集〈10〉
法律 下(山本光雄訳)

岩波10
プラトン全集〈10〉
ヒッピアス(大)(北嶋美雪訳)
ヒッピアス(小)(戸塚七郎訳)
イオン(森進一訳)
メネクセノス(津村寛二訳)

岩波11
プラトン全集〈11〉
クレイトポン(田中美知太郎訳)
国家(藤沢令夫訳)

岩波12
プラトン全集〈12〉
ティマイオス(種山恭子訳)
クリティアス(田之頭安彦訳)

岩波13
プラトン全集〈13〉
ミノス(向坂寛訳)
法律(森進一・池田美恵・加来彰俊訳)

岩波14
プラトン全集〈14〉
エピノミス(水野有庸訳)
書簡集(長坂公一訳)

岩波15
プラトン全集〈15〉
定義集(向坂寛訳)
正しさについて(副島民雄訳)
徳について(副島民雄訳)
デモドコス(副島民雄訳)
シシュポス(副島民雄訳)
エリュクシアス(尼ケ崎徳一訳)
アクシオコス(西村純一郎訳)

角川別
プラトン全集 別巻
プラトン(ディオゲネス・ラエルティオス著 村治能就訳) プラトン伝(オリュムピオドロス著 戸塚七郎訳) プラトン哲学の諸問題(プルタルコス著 戸塚七郎訳) プラトン哲学緒論(アノニュモス著 大藤重彦訳) 年表,参考文献

岩波別
プラトン全集〈別巻〉
総索引

 

ディック・フランシス『骨折』(ハヤカワ文庫)★★★☆☆

 

 

競馬シリーズ10作目。

 

さる大金持ちの息子をGIジョッキーにしろと、いきなり厩舎オーナーが拉致監禁されるという、コルトレーンのLive in Japanのマイ・フェイバリット・シングスみたいな悠長さとは真逆のいきなりな冒頭は好感度大。

 

そういえば、トレーンのライブ・イン・ジャパンの同曲は、彼が幾度となく演奏した同曲のなかでもフリー色が強くあまり相手にされていないような感もあるが、冒頭15分のジミー・ギャリソンの眠気を誘うベースソロに続くトレーンの10分に及ぶ執拗な前段を耐え忍び、ようやく開示されるテーマの清冽さ、ここだけを何度も聴きたくなるような心ときめく瞬間である。30年聴いているが、想いは変わらない。

 

…さて、解放されたオーナーのもとにどうしようもないクソガキジョッキーが訪れるわけで、彼をいかにして追い出すかが眼目かと思いきや、実は彼とのあいだに芽生える父子の情にも似た絆の醸成が読みどころ。

 

フランシスの競馬シリーズは、競馬をダシにして感情やプライドといったところをうまく表現するところに妙味があり、冷戦後の冒険小説のひとつの型を先取りしているといえるのだが、本書もアクションが低調ながらもクソガキ成長物語として悪くない。

 

とはいえあくまで異色作として読めるという程度で、決して褒められたものではない。ここだけの話だが、競馬シリーズって意外にあたりが少ないのだ。

 

★★★☆☆

 

1st.version, 1971