由良三郎『黄金蜘蛛の秘密』 (広済堂文庫)★★★☆☆ | 灰色の脳細胞:JAZZよりほかに聴くものもなし

由良三郎『黄金蜘蛛の秘密』 (広済堂文庫)★★★☆☆

 

 

作者がデビュー前に手慰みにものした初めての習作を改稿したもので、やはり一番愛着のある作品らしい。

 

話としては、「あいつ殺して〜」と管を巻く泥酔会社員に「じゃあ、殺し方おしえちゃいますよ?」と近づく怪しい男が出てくるあたり何だか喪黒福造チックな掴みだが、これが悪くない。

 

その後、当然のように泥酔会社員の敵が事故死を重ねていくわけで、その真相が暴かれることに期待しつつ読み進めていくと、いつの間にか大衆演芸の世界に足を踏み入れることになるという、むちゃくちゃな力技がポイント。

 

一応はミステリの形をとっているが、ネタはあとがきで完全にバラされてるし、その点は大したものではない。しかし、読みやすさと大衆演芸を題材にとった点はポイント高し。

 

★★★☆☆