勝 海舟, 勝部 真長
『
氷川清話』(角川文庫)
江藤淳らによって決定版が上梓されているいまとなっては、吉本襄版に依拠した本書を敢えて手にとる必要はないともいえる。
しかし本書には80頁にも及ぶ勝部真長(「みたけ」と読む)による「勝海舟伝」が付されており、これがまたすばらしいのだ。海舟の生涯と思想をヒューモラスに描き、さすが勝小吉が現代に転生したのかと見まちごうばかりの『夢酔独言』訳者と感心させられる。
とりあえず勝部のそれだけで十分に価値があるといえる。ただ海舟の談話自体については、やはり江藤版についたほうがよい。
★★★★☆