基本中の基本:別冊宝島編集部『プロレススキャンダル事件史』(宝島社文庫) | 灰色の脳細胞:JAZZよりほかに聴くものもなし

基本中の基本:別冊宝島編集部『プロレススキャンダル事件史』(宝島社文庫)



別冊宝島編集部
プロレススキャンダル事件史』(宝島社文庫)

いわゆるプロレス史における「スキャンダル」なるものの当事者や関係者からインタビューを取りその真相を明らかにした一編といえるのだが、ターザン山本の自己弁解がスキャンダルとかいわれてる時点で何か違うぞ、と普通のファンならば気づくだろう。

実際、ここで取り上げられているものはスキャンダルというには地味過ぎるか、あるいはそうであるにしてもすでに十分にその内実を語られつくしたものが多い。はっきりというが、某巨大掲示板のプ板の方が濃い。もちろん情報の取捨選択が前提ではあるが。

それでもストロング小林の国際プロ離脱と佐山『ケーフェイ』が出版されるまでの過程は興味深かった。ちなみに『ケーフェイ』はプレミアつきすぎ。さすがにプロレス本には数千円も出したくない。

ただし、プロレス史でこんな「スキャンダル」が起きたんだと初心者が学習するのにはいいかもしれない。もちろん、本当にスキャンダラスなことはもっともっとあるわけだが。


1 暗闘
スクープ・インタビュー1―新間寿「『アントニオ猪木監禁事件』監禁部屋での地獄の7時間
スクープ・インタビュー2―佐山聡「新格闘技へ向かわせたコステロ戦と『あの一言』」ほか
2 強行
スクープ・インタビュー3―S.小林「国際プロレス離脱の真相とA.猪木戦の舞台裏」
1985年佐山聡の『ケーフェイ』出版―版元社長が全てを話す『ケーフェイ』制作の舞台裏ほか
3 暴走
1983年アントニオ猪木舌出し失神事件―失神したはずの猪木は深夜、病院を抜け出しどこに向かったのか
スクープ・インタビュー4―西村修「長州政権下での陰謀試合と新団体構想」ほか
4 嘲笑
1997年パンクラス船木・鈴木の対立―船木が鈴木に突きつけた“対立”というアングルとその真意
1978年エル・カネック敵前逃亡事件―藤波から逃げて運も逃げた…エル・カネック悲劇の新日史ほか

★★☆☆☆