破滅を受けいれるということ:J・G・バラード『時の声』(創元SF文庫) | 灰色の脳細胞:JAZZよりほかに聴くものもなし

破滅を受けいれるということ:J・G・バラード『時の声』(創元SF文庫)



J・G・バラード
時の声』(創元SF文庫)

破滅を受け入れる静寂な諦念を描き、たとえばピエール・ギュヨタなどの対極に立つバラードの傑作短編集。

プールの底に描かれた読解不能な記号、遺伝子操作により実験室にて不可解な発達を遂げた生物たち、滅亡を控えた地球の最後の水たまりに残された魚、睡眠を喪失した人間。すべて不吉な形象に満ちているが、醜くはない。それらがなぜか美しい。

★★★★☆